日本で禁止されている「混合診療」とは?

日本の健康保険制度では、保険診療と自由診療を合わせた「混合診療」は原則として認められていません。ただし歯科治療や先進医療など、ごく一部の医療では例外的に認められています。


なぜ混合診療は禁止されているのか?

医療には、大きく分けて健康保険の適用される保険診療と、全額自己負担になる自由診療の2つがあります。ある治療を受ける際に、これら2つを合わせておこなうことを「混合診療」と呼び、日本では原則的に禁止されています。

たとえば、私たちがケガや病気をした時に受ける手術は、ほとんどが保険診療です。しかし手術はあくまで健康の回復が目的ですから、手術痕などはどうしても残ってしまいます。 もしそこで、より傷跡をキレイにできる自由診療の技術を選びたい場合は、すべて全額自己負担で受けることになるのです。つまり「手術は保険診療で、縫合は自由診療で」といった併用はできません。

なぜ混合診療が禁止されているのかというと、1つは「健康保険制度の趣旨」にあります。健康保険は、保険に加入するすべての人が平等な医療を受けるために作られたものです。もしも混合診療を認めてしまうと、自由診療の分を自費でまかなえる富裕層と、そうでない層に分かれてしまい、医療格差が生じます。

また医療機関側も、自由診療のほうに力を入れてしまう可能性があります。病院にとっては、自由に料金を設定できる自由診療のほうが確実に儲かりますから、「保険診療ではここまでしかできませんが、さらにお金を払えばもっといい治療ができますよ」というアピールをすることになりかねません。

他にも、安全性や有効性が確認されていない怪しげな医療の増加につながる可能性もあります。このようなさまざまな理由から、日本では混合診療を禁止しています。


例外的に混合診療が認められているケースとは?

ただし例外的に混合診療が認められている例として、歯科治療があります。たとえばレントゲン検査や虫歯の治療にかかるお金は保険でまかない、自由診療になるセラミッククラウンは自費で支払う、といったものです。他にも歯科では、プラスチック以外の素材の入れ歯などにも混合診療が適用されています。

これは本来なら立派な混合診療になるのですが、「それくらいなら患者さんの選択の自由を認めましょう」ということで、例外的に黙認されているのです。他には、個室入院をした際の差額ベッド代なども同じ扱いになります。

上記のように、今後も保険診療になることはない自由診療を「選定療養」と呼ぶのに対し、将来的に保険診療に切り替えることを前提とした自由診療を「評価療養」といいます。代表的なものが、先進医療です。

たとえばがんにおける重粒子線治療や、免疫細胞を用いた「がんワクチン」などが先進医療に当たります。これらは、より多くの患者さんにおこなってさらに有効性や安全性が確認されれば、保険診療へとシフトする可能性があるため、例外的に混合診療が認められています。

このようにいくつかの特例はありますが、基本的に混合診療はNGであり、「保険診療以上の医療を望む人は、治療費を全額支払い、自己責任で受けてください」ということにしているのです。