医療保険と健康保険は違うの?

一般の人々に混同されやすいのが、医療保険と健康保険です。同じものだと思っている人もいるでしょうけれど、まったく別物を指す場合と、同じものを指す場合とがあります。一般的には別物で、医療保険とは民間の生命保険会社が販売する保険の一種であり、加入者(被保険者)が病気やケガなどで入院したり手術をしたりした場合に「給付金」が支払われるもを指します。たとえば、入院1日につき1万円(10日入院すれば10万円)とか、盲腸(虫垂炎)の手術をすると10万円とかといった金額が支払われます。安心して入院できるように任意で加入するものです。

健康保険とは社会保険のひとつで、病気などで病院や診療所で診察を受けたり入院したりしたときに、その医療費(治療費)の一部を負担してくれる仕組みのことです。国によって加入が強制される代わりに、誰もが一定の医療サービスを受けられます。医療費の一部は自己負担しますので、健康保険を使って「儲かる」ということはありません。 健康保険制度のことを「医療保険制度」とも呼ぶことから、健康保険=医療保険として扱われることもあり、両者が混同される一因になっています。


よく似たものがいっぱいある!?

医療保険は、おおざっぱに言えば、入院すると儲かる保険です。長く入院すればするほどお金が入ってきます。1年入院したら700万円もらえた、などというケースもあり得ます。退院した後に他の病気で入院すれば、またお金がもらえ、入院の回数には制限がありません。「1ヶ月ベッドで寝ていたら30万円」というように、治療費とは無関係に支払われて「お得感」があります。

生命保険では死亡したときに支払われるお金を「保険金」、入院・通院したときなどに支払われるお金を「給付金」と呼んで区別しています。「保険金」は死亡時に支払われるため1回きりのもので、「給付金」は入院をする都度支払われるため、繰り返し何度も使うことのできるものですが、両者を区別することには大した意味はありません。実際、損害保険会社が販売する傷害保険では、入院したときに支払われるものも「保険金」と呼んでいて、死亡時の「保険金」とは特に区別をしていません。


生保と損保の、医療保険と健康保険の違いとは?

生保と損保の違いにもあいまいなところがあります。損保は「ケガ」のための補償を「傷害保険」として販売しています。ケガに特化したものは損保の傷害保険で、病気もケガも両方ともカバーするのは生保の医療保険というように区別されているのです。ケガで入院したときには、生命保険会社からも損害保険会社からもお金がもらえることになります。生保のものは「給付金」で、損保のものは「保険金」といいますが、名前は違えど同じものです。

医療保険は民間の生保の商品で、生命保険会社が儲けるために販売しています。健康保険は国が国民福祉のために運営する仕組みであり、儲けがでることはありません。実際にはかなりの大赤字です。医療保険と健康保険が混同されがちなのは、わが国の「健康保険」のような仕組みのことを、総称して「医療保険」と呼ぶことがあるということも影響しているでしょう。使われるシチュエーションによって指すものが異なるため混乱が生じています。生命保険会社が「医療保険」の販売を開始したときに別の名前にすべきでもあったでしょう。

生保の商品である医療保険と、国民の生活を守る仕組みである健康保険はまったく別物です。ただし、健康保険のことを医療保険と呼ぶこともあります。世の中を混乱させる一因となっています。