夕張市に学ぶ究極の医療費削減方法

2007年、北海道の夕張市は自治体としてはじめて財政破綻を経験しました。その結果、市立病院が閉鎖され、救急病院もなくなり、救急車も消えました。医療崩壊が起こったのです。

夕張市は高齢化率45パーセントという、日本でも最も高齢化率の高い地域であるため、この状況でどんな悲惨な生活が始まるのだろうと、当初は心配する声も多く寄せられました。 しかし、その結果は大方の予想を覆す、驚くべきものとなったのです。


医療崩壊後の夕張市

夕張市では財政破綻後、救急車出動率は約半分になりました。また、一人当たりの年間医療費も10万円程度減となり、さらに日本人の三大疾病といわれるがん、心疾患、肺炎での死亡者数がすべて減るという、驚きの結果が報告されたのです。

2014年に、元夕張市立診療所所長、森田洋之氏が語った夕張の医療の現状は、大きな反響を呼びました。 夕張は、もともと医療水準は高くなかったのですが、財政破綻により壊滅的な状況となってしまいました。

夕張市全体を見てもCTもMRIも1台もないという状況に陥り、病床数は破綻前の171床から10分の1の19床となりました。また、救急患者はドクターヘリで対応し、札幌まで運ぶよりほかなく、結果的にこれまで30分で病院に行けたものが、倍の60分かかるようになったそうです。


驚くほど元気な夕張の高齢者たち

そのような状況にも関わらず、夕張市民はとても元気だという印象を、赴任した当初、森田氏は感じたそうです。

なぜ、こんなに元気でいられるのだろうか。 実際に、夕張でどのような事が起きているのか? 一例として、森田氏は肺がんになった90代の女性の例を挙げています。

札幌の病院での検査の結果、肺がんと診断され、抗がん剤治療を勧められた彼女は、その後一度も札幌の病院には行かず、最後まで自宅で家族と過ごすという選択をされたのです。

熱が出たとか、呼吸が困難だというときには診療所の訪問治療を利用しながら闘病し、なくなる前の日まで好物のまんじゅうを食べ、笑顔で過ごした後、息を引き取られたのだそうです。

彼女の最後が穏やかで幸せだった、という事は容易に推察できますが、例えば金銭的な面で考えても、病院での抗がん剤治療と在宅で訪問診療では大きな開きがあります。彼女は賢い選択をしたと言えるのではないでしょうか。


医療崩壊しても元気な秘密とは?

夕張市で住民がむしろ崩壊前より元気になった訳を、森田氏は「予防の意識」だと言います。 日本に住んでいれば、医療費は安く、救急車は電話をすればやってきてくれるのが当たり前、という意識が浸透しています。

つまり、多少無理をして病気になったとしても、病院で見て貰えばいいんだから、という気持がどこかにあるのです。 健康を害したときのリスクが、それほど高くないとも言えます。

しかし、夕張ではその「当たり前」が崩壊しました。そのことで、逆に健康への関心が高まり、病気にならない生き方を探る結果となったのです。

「病気にかかりにくくする」と「健康に生活する」は、同じ意味ですが、そこには大きな違いがあります。病院に簡単に行けないのであれば、何とかして健康に過ごす必要があります。健康な生活習慣ほど優れた治療はないとも言えます。

毎日の生活をほんの少し気をつけるだけで、我々は健康に過ごせるのだということを、我々は夕張市民からしっかり学ぶべきかもしれません。